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Thread (861 ) -- なんちゃってPLCゼータの核内移行!
No. 1888--べ.
No. 1888 (2008/05/22 12:49) べ

自然は超一流の手品師です。サイエンティストは自然という手品師の演じる手品をどんなからくりがあるのか!と後ろから覗いたり、上から覗いたりしながら種明かしをするのが仕事だと思います。ですからコップの中の水がなくなったり、人間が宙に浮いたりすることを見たまま記述していてはサイエンティストとは言えません。超一流の手品師のトリックを見破って何が起こっているのかを記述しないと一流のサイエンティストにはなれないということです。でも超一流の手品師の前では、一流のサイエンティストが集団でだまされるということがあるようです。

受精が正しく行われると精子の核が入ったあと、さあ発生だ!という合図が必要になりますが、その活性化因子の候補として一番可能性が高いものはオシリンでちょっとミソをつけたカールさんが活性化因子第2弾として提唱したPLCゼータということになっています。PLCゼータのcDNAを卵子に注入するとカルシウムオシレーションを引き起こしますが前核ができると、その中に移行して細胞質からなくなり、それに伴いカルシウムオシレーションも止みます。どう見ても前核内に入るという挙動は意味のあるもので、発生の調節に役立つと見えますよね。この動きを見て何も感じないのはサイエンティストではないとさえ言えると思います。ところがどっこい!この移動はたんなる手品師の目くらましで、さも意味があるかのように論文を書いたたくさんのサイエンティストは騙されていたということが宮崎先生のグループのお仕事で判明しました。

マウスの卵子にラット、ヒト、メダカなど異種のPLCゼータのcRNAを注入するとそれぞれのPLCゼータができます。これらにはすべてよく保存された核移行シグナルがありますが、なんと前核ができるとそこに移動するのはマウスのだけ!であとのPLCゼータは細胞質にどっしりと構えているが、カルシウムオシレーションは止まる!んだそうです。すごいきれいな写真が載っています。あちゃ~!み~んな自然のトリックに騙されてましたねえ!

今回は自然の手品の目くらまし部分を明らかにした論文でしたが、種明かしとしてPLCゼータが真の活性化因子なのかどうかをはやくKOマウスで確かめた論文を読みたいものです!

BIOLOGY OF REPRODUCTION 78, 1081–1090 (2008) Published online before print 5 March 2008. DOI 10.1095/biolreprod.108.067801 Difference in Ca2t Oscillation-Inducing Activity and Nuclear Translocation Ability of PLCZ1, an Egg-Activating Sperm Factor Candidate, Between Mouse, Rat, Human, and Medaka Fish1 Masahiko Ito,2,3,4 Tomohide Shikano,3 Shoji Oda,5 Takashi Horiguchi,6 Satomi Tanimoto,6 Takeo Awaji,7 Hiroshi Mitani,5 and Shunichi Miyazaki8


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